終活とは、もともと週刊誌の連載記事によって作られた言葉で、始めは葬儀や墓に関する内容を指していました。しかし、終活という言葉が周知されるにつれ、相続や財産整理、延命治療、介護など幅広い内容を含む言葉になっていきました。今回は終活の内容や始めるべき時期、終活の手順などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
終活は後ろ向きな作業ではない
終活という言葉が使われ始めたころ、もっぱら葬儀や墓地に関する言葉として用いられていました。
つまり、葬儀や墓に関する人々の意識や行動の変化をさす言葉だったのです。2010年代の前半頃から、終活に関する書籍や雑誌が次々と出版されるようになると、終活の意味が徐々に変化します。
2013年頃になると、終活は葬儀や墓といった内容だけではなく、相続・医療・介護・健康など、幅広い内容を含むように変化していきました。終活には、2つのメリットがあります。
メリット:老後の不安を解消できる
たとえば、介護が必要になった場合の対応や費用、さらには認知症になった時のことなどを事前に計画し、家族と話し合うことで、漠然とした不安を解消し、具体的なプランを明確にできるでしょう。
事前に老後の不安となる原因を整理し、対策を立てることで日々を安心して過ごせるようになります。
メリット:自分の死後の家族の負担を軽くできる
人が亡くなると、遺族は葬儀の手配、遺産相続、遺品整理など様々な手続きに追われます。
例えば、葬儀会社への連絡を始め、財産確認や遺品の仕分けなどの作業が必要だからです。これらの手続きは情報が不足していると非常に困難で、場合によっては遺族にとって大変な手間になることがあります。
しかし、終活の一環として必要な情報をエンディングノートにまとめておけば、亡くなった後にどこに連絡すべきか、相続する財産がどうなっているのかをすぐ確認できるため、遺族の負担を減らせるでしょう。
取り掛かるタイミングは65歳くらいがベスト
終活を何歳から始めるべきかについて、明確な基準はありませんが、65歳くらいから始めるのがベストではないでしょうか。
なぜなら、65歳ごろは多くの方が会社を退職し、子供たちも独立していることが多いため、時間に余裕が持てる時期だからです。この時期であれば、体力や気力も十分あり自由に行動できるので、終活に取り組みやすいといえるでしょう。
終活の行動は、自分の人生を振り返ったり、これまでの経験や思い出を整理したりするのに良い機会となります。そうした行動をすることは、自分の将来の明確なビジョンを持つことに繋がり、不安を軽減する手助けとなるでしょう。
具体的には、財産の整理や相続の計画、遺言書の作成、葬儀の準備などを進めることで、自分や家族に対する負担やトラブルを未然に防げるでしょう。こうした手続きを自分で行うことで、死後の手続きで家族に迷惑をかけずに済みます。
また、残された老後の時間の生活設計を具体的に考えることで、自分のやりたいことを整理し、生活の質を向上させることもできるでしょう。
たとえば、健康管理や住環境の整備、趣味や活動の計画など、積極的に老後を楽しむ方法を模索し、現実味を帯びた計画を立てることなどがあてはまります。これにより、老後の不安を大幅に軽減できるでしょう。大切なのは、終活を早めに始めることです。
退職してしばらく時間が経ってからと考えてしまうと、ずるずると引き延ばして後回しになってしまうからです。まだ健康で判断力がしっかりしているうちに、自分の意志を反映した具体的な計画を立てることが、何より重要です。
早めに行動することで、将来に対する漠然とした不安を解消し、安心して老後を迎える準備が整えられるでしょう。
終活の手順とやっておきたいこと
終活の最もよい方法は、エンディングノートを活用して終活の内容を整理し、それに従って行動することです。
エンディングノートに書くことに決まりはありませんが、大きく分けると「自分史」「看護・介護」「葬儀・お墓」「財産」の4つの分野に分けられます。自分史では、自分の思い出や家族・親しい人などへの想いを綴っておくとよいでしょう。
看護や介護は、延命治療の有無や臓器提供の意思表示、認知症や重度の障害になってしまったときの本人の希望などを記載します。葬儀や墓地の形式についても記載できます。葬儀は結婚式に比べると早急に決定しなければならないため、じっくり考える余裕がありません。
「故人の意向」が明確な形で残されていれば、遺族も葬儀や墓地について悩む必要がなくなります。遺産相続も重要です。紙の通帳がないことも珍しくない現代では、人が亡くなった際に故人の財産を特定するのが大変かもしれません。
エンディングノートに財産目録を記載していると、遺族が財産を把握しやすくなるでしょう。同様に、契約しているサブスクの会員情報やID、パスワードも記載しておくのがおすすめです。
まとめ
今回は、終活の内容や始めるべきタイミング、終活でのエンディングノートの活用などを解説してきました。死は誰にも等しく訪れる現象ですが、突発的な死でない限り、事前に備えておけます。家族に迷惑をかけたくないと思っている人ほど、終活に強い関心を持っているかもしれません。退職後に時間に余裕ができたら、できるだけ早く終活に着手し、心置きなく老後の生活を送る準備をするのがよいのではないでしょうか。