生命保険の死亡保険金は相続財産となるのか?

公開日:2025/04/29 最終更新日:2025/05/30

生命保険は、万が一の際に大切な家族を経済的に支える重要な手段として多くの方が加入されています。親が亡くなって受け取った死亡保険金は親からもらった相続財産のように見えますが実は違います。本記事では、専門家の視点から生命保険の死亡保険金と相続の関係について、詳しくご説明いたします。相続対策を考える上で、生命保険は非常に有効な手段のひとつですが、その仕組みを正しく理解することが重要です。死亡保険金が相続財産に含まれるのか、相続税の対象になるのか、また相続財産ではない場合はどのような扱いになるのかなど、知っておくべき知識をわかりやすく説明していきます。

死亡保険金の基本的な性質

生命保険の死亡保険金とは、被保険者が亡くなった際に、保険契約で定められた受取人に支払われる金銭のことです。生命保険契約に基づき死亡保険金の受取人が直接取得する「固有の財産」とされ、遺産分割協議の対象外となります。高額の死亡保険金を受け取ったとしてもそれを他の相続人と分けなくて良いのです。過去の最高裁の判決で、被保険者の死亡と同時に受取人の権利が発生し、遺産から切り離されると明確化されています。

固有の財産というこの独特の仕組みは、生命保険制度における重要な特色の一つです。例えば、夫が妻を死亡保険金の受取人として指定していた場合、その保険金は妻の固有財産となり、相続財産には含まれません。

ただし保険金が遺産総額の50%を超えるなど著しく高額な場合、特別受益認定として遺産分割で考慮される可能性があります。このように、生命保険の死亡保険金は基本的には相続財産ではないとされていますが、実際の取り扱いはケースによって異なる場合があります。それでは、具体的な状況について見ていきましょう。

死亡保険金が相続財産となるケース

死亡保険金が相続財産に含まれないケースとして、最も一般的なのは「被保険者と契約者が同一人物で、保険金受取人が法定相続人である場合」です。この場合、死亡保険金は保険金受取人の固有の財産として取得することになります。

例えば、夫が契約者かつ被保険者となり、妻を保険金受取人とする生命保険に加入していた場合、夫が亡くなったときに妻に支払われる死亡保険金は夫の相続財産には含まれません。妻は保険契約によって直接的に取得する権利を持つことになるのです。

保険金受取人が複数指定されている場合も、各受取人はそれぞれ指定された割合に応じて死亡保険金を受け取る権利を持ちます。この権利もまた相続財産には含まれず、受取人の固有の権利となります。

ただし、死亡保険金が相続財産に含まれないからといって、相続税の対象から完全に外れるわけではありません。次に、相続税の観点から見た死亡保険金の取り扱いについて説明します。

死亡保険金と相続税の関係

税務上の取り扱いでは注意が必要です。死亡保険金は遺産分割協議の対象外であるものの「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。保険金受取人が法定相続人である場合、税制上の優遇措置があります。一定の金額までは非課税となる特例で非課税枠は「500万円×法定相続人の数」という計算式で求められます。

実際の例で説明しますと、被相続人に配偶者と子供が2人いる場合、1,500万円までの死亡保険金が非課税となります。つまり、法定相続人が保険金を受け取る場合、この金額までは相続税の対象とはならないのです。この非課税枠を超える部分については相続税の課税対象となります。

また、相続人の中に相続放棄をした人がいる場合でも非課税額は変わらず利用することが可能です。相続放棄をしても死亡保険金は受取人「固有の財産」のため受け取ることが可能です。

相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、注意が必要です。まずその場合には相続税の非課税枠の適用はありません。加えて死亡保険金の受取人が「1親等の血族(子・親)または配偶者」以外の場合、相続税額に2割加算が適用され、相続税を多く支払わなければならなくなります。

この非課税枠は、相続税の申告をする際に活用できる重要な特例ですので、生命保険を相続対策に活用することができます。

死亡保険金が相続財産となるケース

一方で、死亡保険金が相続財産となるケースも存在します。主に以下のような場合が考えられます。

まず、契約者と被保険者が異なり、契約者が死亡した場合です。この場合、保険契約上の権利(解約返戻金相当額)は契約者の相続財産となります。契約者の死亡によって保険金が支払われるわけではなく、保険契約自体が相続の対象となるのです。

次に、保険金受取人が指定されていない場合や、保険金受取人が被保険者の相続財産と指定されている場合です。このような場合は、死亡保険金は被保険者の相続財産として扱われます。

また、保険金受取人が先に死亡していて、新たな受取人が指定されていなかった場合も、死亡保険金は被保険者の相続財産となります。

さらに、保険金受取人と被保険者が同一人物で、契約者が別の人である場合、被保険者の死亡時には保険金請求権は相続財産となります。

これらのケースでは、死亡保険金は相続財産として扱われ、遺産分割の対象となるほか、相続税の計算にも影響します。相続財産となった死亡保険金には、先ほど説明した非課税枠の適用はありませんので注意が必要です。

保険金受取人の指定と変更

生命保険の死亡保険金が相続財産となるかどうかを左右する重要な要素のひとつが、保険金受取人の指定です。保険金受取人は、保険契約を締結する際に契約者が自由に指定することができます。親族以外も指定することはできますが保険会社によって規定が異なります。

また、保険契約の途中で保険金受取人を変更することも可能です。例えば、当初は配偶者を受取人に指定していたが、その後子供が生まれたので子供も受取人に加えたいという場合には、保険会社に受取人変更の手続きを行うことで変更できます。

死亡保険金の遺産分割協議への影響

死亡保険金が相続財産に含まれない場合でも、実際の相続手続きにおいては考慮すべき点があります。特に、遺産分割協議を行う際には、死亡保険金の受取状況も含めて公平な分割を検討することが多いです。

例えば、子供が2人いる場合で、一方の子供が保険金受取人に指定されていると、その子供は相続財産とは別に保険金を受け取ることになります。このとき、もう一方の子供との間で不公平感が生じる可能性があります。そのため、遺産分割協議では、保険金の受取状況も考慮した上で、全体としてバランスの取れた分配を検討することが大切です。

ただし、法的には死亡保険金は受取人の固有の権利ですので、遺産分割協議の対象にはなりません。あくまでも、協議の中で考慮すべき要素として扱われるという点に注意が必要です。

相続対策としての生命保険の活用法

生命保険は、相続対策のツールとしても効果的な役割があります。具体的な活用例としてはまず前述した相続税の非課税枠の活用です。現金を生命保険に変えることで相続税の対策を行うことが可能です。また死亡保険金自体を相続税の支払いにあてるといった対策も有効です。生命保険の死亡保険金を使った相続税対策や遺産分割協議対策はまた別の記事でご案内予定です。

まとめ

生命保険の死亡保険金は、原則として相続財産には含まれません。これは、死亡保険金が被保険者の財産ではなく、保険契約に基づいて新たに発生した権利だからです。ただし、契約形態や受取人の指定によっては相続財産となるケースもあります。

また、相続財産に含まれない場合でも、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となることがあります。ただし、法定相続人1人あたり500万円に法定相続人の数を掛けた金額までは非課税となる特例があります。

生命保険は、相続税対策や遺産分割をスムーズに進めるための有効な手段となります。特に、換金性の高さや非課税枠の活用、確実な資産移転などのメリットがあります。

ただし、効果的に活用するためには、契約形態や受取人の指定に注意するとともに、他の相続対策とも組み合わせた総合的なプランニングが重要です。家族構成や資産状況の変化に応じて、定期的に見直すことも大切です。

相続対策において生命保険を活用する際には、専門家のアドバイスを受けることもお勧めします。税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、より効果的な相続対策を立てることができるでしょう。

生命保険は単なる保障だけでなく、相続対策の重要なツールとしても機能します。その特性を理解し、適切に活用することで、大切な家族の将来に向けた備えをより確かなものにすることができるのです。

 

 

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